おばあさん猫・ムニとヒトミと、ちょっとグーちゃん

今から18年前、東京からイタリアのトリノへ移り住んだ私と愛猫ム二とヒトミ。今では21歳を超えた二匹たちとの暮らしぶりや、老猫介護苦労話、新しくやって来たラブラドールのグーちゃんとの楽しくて切ない記録です。

ムニとヒトミ、飛行機に乗る

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首都高速で車酔いになったりしながら成田空港へ到着したのが前回

そして私と、ムニとヒトミは
イタリア・ミラノ行きの飛行機に乗った。

飛行機に乗った、と一言でいうのはとても簡単だけど
猫二匹を連れて、はそんなに簡単ではない。

まずは家族からごちゃごちゃ言われたり。

「料理や、イタリア食文化の勉強に行くなら、
あちこち食べ歩いたり、取材に行かないとだろうに、
猫となんか暮らしていたら自由に動けないじゃない」

まったくごもっともな意見だったと思う。
だけど「だから猫なんか、誰かにあげちゃえばいい」と
言われてうなずくわけには絶対にいかなかった。

人間が勝手にペットとして飼い始めて、
今度は勝手に外国へ行くからどこかへやっちゃえ、
なんていうのは絶対に許されないことだと思ったのだ。

しかも私の父も弟も猫アレルギーだから
実家に預けて行く、というわけにもいかない。
だから選択肢は一つしかなかった。

ナーンテ深く考えたというよりは、
ムニとヒトミと別れるなんて考えもつかなかった、
というのが本当のところなんだけどね。

さて、ムニとヒトミを連れて行くと決めて、
まず最初にしたのは、たしかJALに電話をかけたことだったと思う。
今の時代だったら、グーグルに
「海外 飛行機 ペット」とでも入れて検索すれば、
すぐに答えはみつかるんだろうけど、
なにせ20年近くも前の話、ネットなんかなかったのですよ。

なぜJALを選んだかといえば、
当時、成田ーミラノの直行便がJALにはあったからだ。
経由地で猫たちがロストバゲッジになっちゃった!
なんていうのは絶対に避けたかったから、
直行便以外はあり得ない、と考えたのだ。

やさしいJALのお姉さんは電話口で言った。
「お一人様一匹の猫ちゃんであれば、手荷物として機内持ち込みできます❤」
で、機内持ち込みしないのなら、成田空港内の日通さんが
同じ便に乗せるように手配してくれるとのこと。

手荷物として私のそばにおいておければ
それはとても安心だけど、二匹はだめというのだからしかたない。
一匹は手荷物、一匹は貨物室預けにすれば
運賃は一匹分ですむのだが、どっちかだけ差別するようで
あまりにしのびない。
私の猫たちに対する愛は、(できるかぎり)金に糸目をつけないほど
深く、大きいのである。
というわけで、今度は日通に電話をかける。

「運賃は1キロにつき○○○○円です」。
正確な数字は覚えていないけど、
たしか2匹で5万円ぐらいだったという記憶がある。
当時、ムニもヒトミも若い盛りでむっちりと太っており、
それぞれが体重5キロで、合計10キロ。
だからたぶん、運賃はキロ5000円だったのかな。
なんだか高級肉の値段みたいだなあ、なんて
思ったのを覚えている。肉には違いないんだけど。

鍵のかかる航空運搬用に適したケージを
一匹につき一つずつ用意すること。
(寂しいだろうから二匹一緒にいれてあげたいと
言ったら、それはダメですということだった)
出発の一ヶ月前までに血液検査や
狂犬病の予防注射をすませることなど
指示されて、いよいよ出発準備に取りかかった。

ちなみに19年後の今日、グーグルに「海外 飛行機 ペット」と
入れてみたら、最初にANAのページがヒットした。
同意書にサインすること、日本からヨーロッパまでは
一匹だいたい3万円ぐらいであること、
機内持ち込みではなく貨物室預かりであることなど
ていねいに書かれてる。
同意書なんかが必要なのは、最近の世相そのものという感じ。

http://www.ana.co.jp/int/checkin/rakunori/pet/

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写真は、これから彼女たちの身にふりかかる
大災難?を知ってから知らずか、荷造りを邪魔するムニとヒトミ。

そしていよいよ出発当日がやってきた。
成田空港敷地内の奥の方にひっそりとある日通オフィスへ
猫二匹と到着すると、係員の人がケージのサイズを測り始めた。
長い時間、狭っ苦しいケージに閉じ込められているのは
可哀想だと思った私は、二匹が一緒に入っても余裕の
大きなケージを2つ用意したのだが、
これがびっくり。


ケージのサイズが規定より大きいので
キロ5000円だったかの値段は適用されず、
ケージの3辺の合計がどうのこうので、
結局11万円ほどの料金がかかることになったのだ。

その時は、ムニとヒトミを飛行機にのせるという一大事に
文句をいうことも忘れていた私だが、通常の私だったら
「そういうことを問い合わせ時に言わないのは非常に不親切である」と
クレームをつけて、一悶着起こしてたかもしれない。
ま、猫なのにこんなに巨大なケージに入れてくるとは
係の人も思わなかったんだろうね。

11万円払うなら、友人か母かに往復チケットを
プレゼントして一緒にイタリアまで来てもらえば、
その人たちにも喜ばれる上、
二匹とも手荷物として機内にいられたのにね、と
気づいたのは、ずっと後のことでありました。

イタリア行きエピソード、次回へ続く❤

写真は三鷹のマンションで、
障子をボロボロに破いて、桟によじ上ってくつろぐ二匹。

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