おばあさん猫・ムニとヒトミと、ちょっとグーちゃん

今から18年前、東京からイタリアのトリノへ移り住んだ私と愛猫ム二とヒトミ。今では21歳を超えた二匹たちとの暮らしぶりや、老猫介護苦労話、新しくやって来たラブラドールのグーちゃんとの楽しくて切ない記録です。

ムニとヒトミ 飛行機に乗る 最終回

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こんな写真を見つけた。まだデジカメなんかなかった21年前の赤ちゃんヒトミが
写ってるネガのベタ焼き。時代を生きてきたんだね、ムニ、ヒトミ❤

 

夕べ、庭でウリボウが一匹、遊んでいる夢を見た。
Facebookにご近所で出会う動物シリーズをアップして
好評だったから、またウケを狙いたいという深層心理かしら。

それにしてもムニは一度も夢に出てこない。
大好きなあなたにせめて夢の中でぐらい会いたいのに、
全然出てきてくれないね、という歌があったっけ。

というわけで、ミラノ・マルペンサ空港の検疫所で
足止めを食らってしまった
18年前のムニとヒトミの話の続きです。

足止めを食らったと言っても、
彼女たちの健康状態や衛生状態に問題があったわけではなく、
検疫オフィスの担当官が夕方5時を過ぎたから帰ってしまった、
ただそれだけのこと。さすがイタリアである。

職場から時間通りにきちんと帰るのはイタリア人の美徳!の一つで、
時間にルーズというイメージがあるイタリア人だけど、
こと終業時間に関しては超がつくほど時間厳守。
時間に遅れたら大変だから、早めに終わらせることも
しばしばという几帳面さも(笑)

娘をイタリアで出産したときもそうだった。
私を担当してくれた頼もしくてフレンドリーな助産婦さんがいた。
陣痛の間、ずっと励ましてくれて、精神的にとても助けられていた。
それなのに、ある時間になった途端、
うんうん唸っている私の足を叩いてこう言った。

「がんばってね、私の就業時間は過ぎたから帰るね。グッドラック!」
って、そりゃないよ! 責任とってよおー、と叫びたかったけど、
彼女の辞書に「残業」の二文字はないのであった。

もちろん、そんなイタリア人ばかりでなく、
ワーカホリック的に残業も全然いとわないイタリア人だって
たくさんいるので悪しからず。

マルペンサ空港での話だった。
不思議なもので、ミラノで初めての夜、
たった一人で何をどう食べて、どんなふうに過ごしたのか、
全く記憶がないのに、翌日、猫たちを迎えに行ったところからの記憶は
とても鮮明に残っている。
一人だし、時間はたっぷりあるからと
ミラノからマルペンサ空港まではバスで行ったというような、
とても細かいことまで。

ああ、私の愛しい猫ちゃんたちは、いったい
どんなにひどい扱いを受けているだろう、
どんなにか寂しかったであろう、と
駆け出したい気持ちを抑えつつ検疫オフィスへ行くと、
係のイタリア人男性が大きな声で叫んだ。

「来た来た、パドローネ(飼い主)が来たよ、
猫ちゃんと同じ、黒い髪だ!」

歓迎してくれているのがよく伝わったので、
猫たちは無事なんだな、とほっとすると同時に
アホ、東洋人は全員黒い髪なんじゃい、というセリフも頭をよぎる。
案内されてオフィスの奥の方に進むと、そこには
熊でも入れそうなぐらい大きなケージがあり、
その中でムニとヒトミが元気そうに飛び跳ねている。
トイレの世話なんかきっとしてくれてなくて、
糞尿まみれだったりするんだろうな、と暗い気持ちだったのだが
(昨日の検疫官帰っちゃった事件で超悪印象)、
ケージの中はとてもきれいで清潔で、
空港職員の動物好きが志願して検疫担当になった、
そんな感じだった。

ヒシッと抱き合い感動の再会を果たした私と二匹は、
タクシーに乗って一路ミラノの中心街へ。
ミラノ在住の友人が、猫もオッケーというホテルを
探しておいてくれたおかげで、
私と二匹は、一つのシングルベッドで
固く抱き合い、眠りに落ちたのでした。f:id:muni_hitomi:20150415065509j:plain

↑ホテルのベッドでくつろぐ、若き日のムニちゃん。

 

あ、でもその前に私は一人、食事に出かけたっけ。

何を食べたかは覚えていないけれど、
「いい、いい子にしててよ」と部屋のドアを閉めた途端、
にゃああああおおおおー、というムニの叫び声が。
頼むよ、ムニちゃんとつぶやきつつ、戻ってもしかたがないので
無視して階段を下りて行くと、
2フロア降りても、3フロア降りても、
はるか上からムニの叫び声が聞こえ続けていたのを、
昨日のことのように思い出す。

ほんと、あいつはいつも声がデカかったんだよ。

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↑ヒーちゃんはホテルの家具の上にて得意のフクロウ目玉作戦

そのムニの、もうすぐ誕生日がやってくる。
生きていたら22歳。
一人残されたヒーちゃんは最近急に老け込んだようで、
後ろ足を軽く引きずって歩くようになり、
2ヶ月前まではタッタッターと駆け上がっていた階段を、
数段登っては休み、また数段登る、そんな感じになってきた。

寂しいせいのストレスかな。ちょっと心配。

 

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 これは最近のショット。若いときの写真と比べると、
彼女もそれなりに老けているのだ。21歳だもんね❤