グレース登場
「ムニとヒトミと、ちょっとグーちゃん」というタイトルをつけたのに、
このブログを始めたとたんにムニが逝き、ヒーちゃんも後を追い、
わが家の4本足家族はグーちゃんだけになってしまった。
なのに彼女のこと、まだちゃんと
紹介さえしていいことに気がついた。
グーちゃんことグレースは、ラブラドール・
レトリバーの女のコ、9月30日で3歳になる。
グレースのパパ、黒ラブのゴン太くんは、
さらの元ピアノの先生の秘蔵っ子。
その先生が、娘のさらにゴンちゃんの赤ちゃんを
プレゼントしてくれるというので、
猫派だった私はずっと反対していたのだけれど、
さらの執拗なお願い攻撃に屈し、
ついにもらいに行くことになったのが2012年の11月24日。
グレース生後2ヶ月に数日足りないという日曜日のことだった。
ゴンパパと、4ヶ月頃のグレース
お母さん犬の家の門扉を開けると、
うわーっと仔犬たちが走り出してきた。
ああ、猫じゃなくて犬って、こういう感じなんだな。
その時そう思ったのを覚えている。
圧倒的に元気な感じというか騒がしい感じというか。
とにかく、クマの子みたいなラブラドールの赤ちゃんたちが
うわーっと走ってきて、私たちの足下に絡み付いたり、
手をなめ回したり。可愛さに圧倒されまくっていた。
黒ラブのゴンちゃんと白ラブの奥さんから産まれたのは
黒が3匹と白2匹。こっちへわーっと走ってきたかと思ったら、
あっちへダダーッと走って行ってご飯のお茶碗をひっくりかえし、
またドドドーっとやって来たかと思うと
お母さん犬にかじり付いて怒られていたり。
だけどその中にグレースはいなかった。
くれるといったのは、白の女のコのはずなのに
走り回っている白いコはオスが一匹だけだ。
おかしいな、と思ってあたりを見回してみると、
中庭の一角に作られた犬用ハウスの中から
おとなしい感じの白い赤ちゃんが顔を出している。
みんなと一緒に遊ばないでボーッとそこにいる、
それがグレ-スだった。
ハイ、これでお産は終わりよ、といって獣医さんが帰って行った
翌朝、昨日はいなかった白い子がもう一匹
産まれていたのだそうだ。それがグレース。
他の子たちは産まれる前から貰い手が決まっていたそうだから、
グレースはまさに、わが家にもらわれるために
産まれてきた運命の子だね、と今では家族でそう思っている。
だけど、そんな産まれ方とか、
仔犬にしては元気いっぱいじゃない感じを
その時ちょっと私は心配した。
ちゃんと育つんだろうか。
他の兄弟姉妹に比べて身体も小さいし。
でもそんな私の心配をよそに、
娘は嬉しそうに、ほんとうに嬉しそうにグレースを抱きしめた。
わが家に来た時は体重が5キロちょっと。
ムニとヒトミと、だいたい同じぐらいの大きさだった。
他の兄弟たちに圧倒されていただけなのか、
家についた途端、ものすごい勢いでゴハンをガツガツと食べた。
最初に見たぼーっとした感じ、よくいえば
グレースという名前にふさわしい上品な感じは
どこかへ吹き飛んでしまい、その勢いで猫たちのゴハンにも
手をつけようとするので、あわてて取り上げた3年前。
若い猫なら、猫の餌を高いところに移動すればすむだのだろうけど、
ムニとヒトミは、もはや若い頃のジャンプ力はなくなっていて、
仔犬の健康によくないと獣医さんから言われた老猫用の餌は、
おばあさん猫2匹と一緒に二階へ移動することになる。
階段には娘が赤ちゃんの時につかっていた
柵をとりつけて、二階はグレ-ス禁止区域になった。
今思えば、この家庭内別居が
ムニを急激に老けさせたのかもしれないと、
実は私はずっと後悔している。
当時19歳と18歳だったムニとヒーちゃんは
それまでは夜は二階で私と眠り、昼間は家中を自由に闊歩し、
庭でも時々遊んだりして、元気に暮らしていたのに。
仔犬の圧倒的な元気さ、かわいさに押されて
ゆっくり考える暇もなかった。
そんな犠牲を払ってまでも家の子になったグレースだから、
大切に育てていかないとムニとヒーちゃんに申し訳が立たないよね。
こうしてグレースはわが家の一員になった。
私の人生初の犬ライフが始まった。