おばあさん猫・ムニとヒトミと、ちょっとグーちゃん

今から18年前、東京からイタリアのトリノへ移り住んだ私と愛猫ム二とヒトミ。今では21歳を超えた二匹たちとの暮らしぶりや、老猫介護苦労話、新しくやって来たラブラドールのグーちゃんとの楽しくて切ない記録です。

グレース登場

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「ムニとヒトミと、ちょっとグーちゃん」というタイトルをつけたのに、
このブログを始めたとたんにムニが逝き、ヒーちゃんも後を追い、
わが家の4本足家族はグーちゃんだけになってしまった。
なのに彼女のこと、まだちゃんと
紹介さえしていいことに気がついた。

グーちゃんことグレースは、ラブラドール・
レトリバーの女のコ、9月30日で3歳になる。

グレースのパパ、黒ラブのゴン太くんは、
さらの元ピアノの先生の秘蔵っ子。
その先生が、娘のさらにゴンちゃんの赤ちゃんを
プレゼントしてくれるというので、
猫派だった私はずっと反対していたのだけれど、
さらの執拗なお願い攻撃に屈し、
ついにもらいに行くことになったのが2012年の11月24日。
グレース生後2ヶ月に数日足りないという日曜日のことだった。

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ゴンパパと、4ヶ月頃のグレース

お母さん犬の家の門扉を開けると、
うわーっと仔犬たちが走り出してきた。
ああ、猫じゃなくて犬って、こういう感じなんだな。
その時そう思ったのを覚えている。
圧倒的に元気な感じというか騒がしい感じというか。

とにかく、クマの子みたいなラブラドールの赤ちゃんたちが
うわーっと走ってきて、私たちの足下に絡み付いたり、
手をなめ回したり。可愛さに圧倒されまくっていた。

黒ラブのゴンちゃんと白ラブの奥さんから産まれたのは
黒が3匹と白2匹。こっちへわーっと走ってきたかと思ったら、
あっちへダダーッと走って行ってご飯のお茶碗をひっくりかえし、
またドドドーっとやって来たかと思うと
お母さん犬にかじり付いて怒られていたり。

だけどその中にグレースはいなかった。
くれるといったのは、白の女のコのはずなのに
走り回っている白いコはオスが一匹だけだ。

おかしいな、と思ってあたりを見回してみると、
中庭の一角に作られた犬用ハウスの中から
おとなしい感じの白い赤ちゃんが顔を出している。
みんなと一緒に遊ばないでボーッとそこにいる、
それがグレ-スだった。

ハイ、これでお産は終わりよ、といって獣医さんが帰って行った
翌朝、昨日はいなかった白い子がもう一匹
産まれていたのだそうだ。それがグレース。
他の子たちは産まれる前から貰い手が決まっていたそうだから、
グレースはまさに、わが家にもらわれるために
産まれてきた運命の子だね、と今では家族でそう思っている。

だけど、そんな産まれ方とか、
仔犬にしては元気いっぱいじゃない感じを
その時ちょっと私は心配した。
ちゃんと育つんだろうか。
他の兄弟姉妹に比べて身体も小さいし。

でもそんな私の心配をよそに、
娘は嬉しそうに、ほんとうに嬉しそうにグレースを抱きしめた。

わが家に来た時は体重が5キロちょっと。
ムニとヒトミと、だいたい同じぐらいの大きさだった。
他の兄弟たちに圧倒されていただけなのか、
家についた途端、ものすごい勢いでゴハンをガツガツと食べた。
最初に見たぼーっとした感じ、よくいえば
グレースという名前にふさわしい上品な感じは
どこかへ吹き飛んでしまい、その勢いで猫たちのゴハンにも
手をつけようとするので、あわてて取り上げた3年前。

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若い猫なら、猫の餌を高いところに移動すればすむだのだろうけど、
ムニとヒトミは、もはや若い頃のジャンプ力はなくなっていて、
仔犬の健康によくないと獣医さんから言われた老猫用の餌は、
おばあさん猫2匹と一緒に二階へ移動することになる。
階段には娘が赤ちゃんの時につかっていた
柵をとりつけて、二階はグレ-ス禁止区域になった。

今思えば、この家庭内別居が
ムニを急激に老けさせたのかもしれないと、
実は私はずっと後悔している。
当時19歳と18歳だったムニとヒーちゃんは
それまでは夜は二階で私と眠り、昼間は家中を自由に闊歩し、
庭でも時々遊んだりして、元気に暮らしていたのに。

仔犬の圧倒的な元気さ、かわいさに押されて
ゆっくり考える暇もなかった。
そんな犠牲を払ってまでも家の子になったグレースだから、
大切に育てていかないとムニとヒーちゃんに申し訳が立たないよね。

こうしてグレースはわが家の一員になった。
私の人生初の犬ライフが始まった。

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