おばあさん猫・ムニとヒトミと、ちょっとグーちゃん

今から18年前、東京からイタリアのトリノへ移り住んだ私と愛猫ム二とヒトミ。今では21歳を超えた二匹たちとの暮らしぶりや、老猫介護苦労話、新しくやって来たラブラドールのグーちゃんとの楽しくて切ない記録です。

ムニとヒトミ、飛行機に乗る その2

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ムニがいなくなって、そろそろ2ヶ月。
あの日、ムニを埋めた庭の片隅には雪が積もっていたのに、
今は一面に可愛い草花が咲き始めたりしていて、
ずいぶんと時間が経ったことを実感したり。

そんなわけで、前回の続き。
1996年の5月頃、私とムニとヒトミは
JAL成田発ミラノ行き直行便機上の人たちとなった。
二匹連れだから機内持ち込み(連れ込み?)にはできず、
二匹を別々のケージに入れて、
しかたなく貨物室預けにした。

出発前、最後に獣医さんで健康チェックをしてもらった時、
私はあることを獣医さんに相談した。
「貨物室だと空調きいてないだろうから
寒いと思うんですよね、だからケージにホカロンを
入れたらどうでしょう?」

ぷぷぷ、と笑いをかみ殺して獣医さんはこう言った。
「上空一万メートルでは外気温マイナス50度とかですから
ホカロンでは間に合わないでしょうねえ」。

なんつーアホな飼い主と思われたんだろうな、というか
実際アホだったわけだけど。
ペットは貨物室預けと言っても荷物と一緒ではなく、
動物専用の部屋があるということだった。
それで空調が入るから、寒いということもないはずである、と。
よく考えてみれば、そりゃそうだ。
空調がなかったら寒いだけでなく、
気圧も地上とは全く違うだろから
呼吸もできなくなって死んじゃうよね。

そういえば、もうずいぶん前の話だけど、
トリノーシチリアのアリタリア便で犬を預けた人がいて、
職員が空調を入れるのを忘れた(!)せいで、
その犬が死んでしまったというニュースがあった。

なんて辛い死に方だろう。そんな危険の可能性になんか
まったく気づきもせず、ただ12時間も暗い貨物質で私と離れ、
飛行機に揺られて(?)いるのは怖かろう、心細かろう、
ということだけ心配して、イタリアまで連れてきてしまった私は、
若かったのか、配慮が浅かったのか。

さて機上の人たちとなって12時間。
揺れるたびに、ああ、怖がって泣いてないかな、
ごめんね、ごめんね、と顔をしかめていた私に、
スチュワーデスのお姉さん(当時はこう呼んでいたよね)は
「お客さま、大丈夫ですよ、ご安心ください」と何度も慰めてくれた。
そうじゃないんです、私が怖いんじゃなくて、猫たちが心配なんです、
と心の中で思い、お礼を言い続けた。

そしてようやくミラノ・マルペンサ空港に到着した。
係の人の事前説明では、猫ちゃんたちも預けた荷物と一緒に
ベルトコンベアーにのって出てきます、だから
ピックアップしたら検疫のオフィスへ行ってくださいねということだった。

ところが待てど暮らせど、私のかわい子ちゃんたちは出て来ない。
もうほとんどの荷物のピックアップは終わり、
空になったベルトコンベアーがグルグル回っているだけである。
えー! やっぱりロストバゲッジみたいに
どっかへ行っちゃったの?? 
それとも成田で積み忘れ???
焦って問い合わせると、な、な、なんと。

「検疫のオフィスが5時になってクローズしたので、
動物は空港外に出せません。
明日、引き取りに来てください」

ええー! なんだって!!
飛行機の到着時間が定刻5時ちょっと前だったというのに、
動物が乗ってくるのだって知ってたはずなのに、
検疫オフィスの人帰っちゃうって、そんなのあり??

18年イタリアで経験をつんだ今の私だったら、
「さすがイタリアである」とさほど驚くこともなく諦めるのだが、
当時はまだまだ初心者。驚きと怒りと
猫たちへの申し訳ない気持ちでいっぱいになりながらも、
しかし当時の語学力では係員に喧嘩をふっかけることもままならず、
しかたなく一人ミラノ市内のホテルへと向かったのである。

いったい猫たちと無事再会は果たせるのか??
次回、乞うご期待!!

 

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飛行機かあ…

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飛行機??